八戸三社大祭

青森県には有名なお祭りがたくさんあります。

青森市には全国的に有名な『青森ねぶた祭』。 弘前市には『弘前ねぷたまつり』。 五所川原市には『五所川原立佞武多(ごしょがわらたちねぷた)』。 むつ市には京都祇園祭の流れをくむ『田名部まつり』。 黒石市には日本三大流し踊りのひとつ『黒石よされ』。 三沢市には『三沢基地航空祭』。

いずれも今年開催されます。 

良かったです!

八戸市には国の重要無形民俗文化財に指定されている『八戸三社大祭(はちのへさんしゃたいさい)』という夏祭りがあります。  

市内3つの神社による合同の例祭です。
享保5年に豊作祈願とその御礼のために始まった神事とされております。
だから元は秋祭りだったのですね。

その後、年月を経るにしたがい、三社の御神輿の他にも、神楽、虎舞い、町民の踊りなどの民間の伝統芸能の奉納参列や、有力商人たちが買い入れた人形を乗せた屋台なども参列するようになり、町の安泰と五穀豊穣の祈願のお祭りとして続いてきました。

その屋台は、やがて町内単位で作られるようになり、年々大きく華やかになり、今や見事な山車としてお祭りに参列するようになりました。

この山車の運行は、ユネスコ無形文化遺産に選定された全国33の「山・鉾・山車祭り」の一つにもなっております。
 

お祭りは例年だと7月31日から5日間にわたります。

7月31日は前夜祭で、市内の目抜き通りと市庁前広場に合わせて27台の大型山車が並びライトアップされます。
お披露目です。

8月1日は「お通り」という合同運行で、御神輿、神楽、虎舞い、武者行列、郷土芸能、山車、芸妓さんによる華屋台などの絢爛豪華な奉納行列があります。
始めから終わりまでは2時間近くかかる行列です。

御神輿が通ると若者はともかくお年寄りは神社と同様に拍手拝礼します。

虎舞いの虎は、舞いが終わると沿道の子供たちに襲いかかります。
虎舞いの虎に頭を噛まれると、賢くなるとか健康になると言い伝えられているからです。
だから、進んで幼い我が子の頭を差し出す親もいて、その子は泣き叫んで、周りに笑いが起こるというかたちになります。 自ら頭を差し出すお爺ちゃんもいて笑いを誘います。

また、三社大祭発祥の法霊神社(現在おがみ神社)のお神楽には「法霊神楽の一斉歯打ち」という神事があります。
迫力があります。 邪気が払われることでしょう。

8月2日は山車の自由運行日で、それぞれの山車がそれぞれの町内を中心に運行します。 

この日、新羅神社というところでは「加賀美流騎馬打毬(かがみりゅうきばだきゅう)」が行われます。 イギリスのポロとルーツが同じで、スポーツと神事という違いがありますが、2018年にイギリスに招かれてその武技を披露しております。

8月3日は「お還り(おかえり)」という合同運行で、お通りとは逆のルートでの奉納行列があります。 
しかし近年、本来の神事と観光の狭間でルートの是非が問われたりしております。

8月4日は後夜祭で、やはり市内の目抜き通りと市庁前広場に山車が並びライトアップされます。

この5日間は、市内中心部では朝から晩までお囃子と太鼓の音に満ちて、胸が高鳴ります。

お囃子は、京都祇園祭の流れをくんでいるそうです。

八戸市出身者で県外に住んでいる人たちには、郷愁の音色だと思います。


八戸三社大祭」は、基本的には神事です。 神事の決まり事は重んじるべきです。

そして観光を考えると、周辺の夏祭りとの日程もあると思いますが、まず全国に発信する方法を考慮すべきです。 
公式YouTubeは、いまいちお祭りの魅力が足りない。なぜ、お祭りの白眉である山車の運行を早回しにしているのでしょう。 ロングバージョンと謳いながらも全然短い。 
公式HPは、画像が足りなくて、日程等のテキストが多く、お祭りの魅力が伝わらない。 今回初めてHPを見ましたががっかりしました。 

たまに東京等で行われる、「地方の祭り」的なイベントでの山車の披露だけでは、三社大祭への興味は膨らまないし、青森ねぶた祭の熱気や五所川原立佞武多の圧倒の前にはかすんでしまいます。
やはり、あくまでも神事であるという個性が大事だと思います。


僕は非常に誇り高い文化だと思っています。 
7月~8月の八戸経済は、この神事のおかげで活性化しているという謙虚さが必要なのではないか。 もっと大事に継承継続して、丁寧に発信していくべきだと思っております。 
また参列する側も、神社側はも少しおごそかに歩いて欲しい。
付け祭り側も、地元臭あふれるダラダラ感はみっともない。
地方の祭りではあるにしても、国にもユネスコにも認められて、もはや百万人規模の観客を集めている八戸市の1大イベントであるのだから。

他県から見に来てリピーターが増えるお祭りであって欲しいです。

(信心があるわけではないのに少し興奮してしまいました。)


ところで、この2年間は新型コロナの感染予防に配慮して各神社ごとの神事祭礼のみ執り行われました。

行列なしです。 

淋しい夏でした。

2022年は、お囃子や山車製作の伝統継承のために、7月31日に各町内会の山車制作者が協力して1台の山車をつくり、例年より短いコースを運行するそうです。 芸妓さんの華屋台以外は行列なしです。 

ただ、市庁前広場には小型に作られた山車を27台展示するそうです。
その他にも8月4日までは、ホコ天等を予定しております。

だから神事とは別に、市民にお囃子や山車を披露し、中心街に人を集めるイベントになりました。

それでもコロナ過の中、お祭りのために一生懸命にお囃子の練習をしてきた子供たちや、山車の制作に携わった大人たちには思い出深いお祭りになることと思います。 
また中心街の商店や飲食店も、久々の人出に期待するところは大きいことでしょう。

何もしないで、お祭り中止よりは余程良かったと思います。


ライトアップした山車
ライトアップした山車
虎舞い
虎舞い
加賀美流騎馬打毬
騎馬打毬